030米国同時テロを見るQOL的視点

今回は別のテーマを用意していたんですが、米国同時テロ事件の衝撃があまりにも大きかったので、予定を変えてこの問題について考えることにします。

この事件については、知恵市場[kafe]メーリングリストで意見募集をしてやりとりが続いていて、今回のコミトンはこのMLでの議論もふまえて、僕の考えをまとめていこうと思います。

僕が今考えているのは、ふたつあります。ひとつは、この事件は「いったい何なのか？」、そしてもうひとつは、「日本にいる僕ら個人は、これからなにをすべきなのか？」。

タイトルを「QOL的視点」としましたが、これは、僕ら個人が、こういった事件を前に右往左往せずに、やるべきこと、考えるべきことにしっかり目を向けるための、ひとつの軸になることをめざしています。以下、コミトンでは異例の、「である」文体で書きます。そういう気分なので。

■1000人の命の重さ

テレビの中ではワールドトレードセンターが燃え、崩壊し、多くの人が灰をかぶって走っていた。その後、僕らが何百回も繰り返し見ることになる映像だ。事件当時、朝の早い金融街ではほぼ100％に近いビジネスパースンが出勤していたと考えるほうが妥当で、とすれば、少なく見積もっても1000人単位の人が死んでいる可能性が高い。その数の多さ、巨大なビルが崩壊する映像の強烈さに、テレビの中のアナウンサーやキャスターはひたすら事件の卑劣さをののしっていた。

でも僕が思ったのは、ビルが崩壊し、罪のな人々がけがをしている映像を見ながら、なぜこのテレビの人たちはこの映像にこんなに怒っているのだろうということ。

米国人が、なんの言われも罪もなく、1000人単位で死んだ。これは本当にとんでもないことだし、個人として彼らが被った不幸の大きさについてはよくわかる。しかし、それでもなお、僕の中の違和感はぜんぜん消えなかった。

米国のビルが倒壊し、千人か1万人ぐらいの人が死ぬ。だから、なんなの？

僕らのすむ地球では、毎日1万人ぐらいの、なんの罪のない人が紛争の中で死んでいる。あるいは、地雷を踏んで死ぬよりつらい苦労を背負う人生を歩いている。そんな映像を、毎週どこかのチャンネルで放映している。その映像に、僕らはほとんどなにも思わなくなっているか、すぐに忘れてしまうのに、なぜこのニューヨークの映像に、僕らはこんなに大騒ぎしているのだろうか？

米国人、あるいは先進国人の、特に大都市住民は、世界の中で圧倒的に命の重さが重いらしい。だから1万人死んだ「ぐらい」で、世界中のテレビが何日も放送し続けてくれるのだ。

ルワンダ内戦でフツ族とツチ族との間で繰り返された虐殺の、80万人という死者の数はどうだ。ルワンダが、非文明圏でのできごとだというなら、ユーゴ内戦でセルビアとクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、そしてコソボを巡って行われた戦争や民族浄化の虐殺は？　あの殺し合いや虐殺の現場から数十キロしか離れていないリゾートで、欧州の人たちはのんびりバカンスを楽しんでいたのだ。そんな文明圏での悲惨な映像に、僕らはワールドトレードセンター報道の半分の関心でも払ったのか？

命の重さが、住んでいる地域や立場によってまったく異なるのは、いまに始まったことではない。そのことは十分嘆くに値することだけれど、しかし僕らはそれを受け入れざるを得ない世界にいる。

まさにその事実こそ、今回の事件の「本当の背景」にあると、まずは感じた。

ユーゴ内戦については
http://www.tanakanews.com/981027kosovo.htm
などを参照

■これまでとはまったく「異質な」テロ

今回の事件の背景として、まず思い出すのは、パレスチナ問題だ。パレスチナは、94年の和平合意のあと、一時期順調に和平に向けて進みつつあるように見えていたけれど、イスラエルの保守は政権誕生を契機に時計が逆に回り始めた。パレスチナ人とイスラエルとの間の「小競り合い」はエスカレートし、双方多くの死者を出している。

パレスチナ人は、この和平合意でPLOによる暫定自治と引き替えに、ゲリラ組織の武装解除とパレスチナ自身の手によるテロやゲリラの取り締まりを約束した。そして少なくとも途中までは、この約束を果たしていた。つまり、パレスチナ人から見れば、平和を信じて武器を捨ててみたら、同じく武力行使をやめると言っていたイスラエルはいっこうに兵を引かない。いわば自ら牙を抜き、平和を選んだのに、相手は牙を持っただけだったという、「登ったはしごをはずされた」状態におかれてしまったのだ（もちろんこの構図は、これほど簡単ではないが、おおむねそういう状況と言っていいだろう）。

※ここで基本問題。パレスチナ人の民族名と宗教は？　イスラエルの民族名と宗教は？　これがぱっと答えられない人は、ある意味、これからの時代の中ではQOLが高い生活は送れないかもしれないかも、ということを今回のテロ事件は教えてくれたような気がする。

アラブから見れば、パレスチナ和平が進まないイライラがある。結局損をするのはオレたちか、と。

では今回のテロは、パレスチナ問題を軸にした、アラブ＝イスラムと、イスラエルを支援するアメリカとの対立、という構図なんだろうか？

しかし、同時テロ事件の直後、イスラム諸国はすばやくこの事件を非難する声明を発している。パレスチナ自治政府のPLO、パレスチナの中でも過激派として知られるDFLP、最も狂信的教義であるイスラム原理主義を標榜するタリバーン（アフガニスタンを支配する）までも、事件を非難する声明を発した。ちなみにタリバーンは、数か月前にアフガニスタンにある仏教の世界的遺跡「バーミヤンの大仏」を無惨にも爆破した連中だ。そのタリバーンがテロを非難し、しかも、ほかのどのグループからも犯行声明が出ていない。

この時点で、今回のテロが従来のテロとまったく性格を異にするすることに、僕らは気づかされるのだ。世界の誰も、このテロを支持しない。しかも誰もテロの目的を主張しない。
テロは、弱者（非主流的な立場の人間）が、正当な手段では自分の主張を、理解させたり実行に移させることができないため、ほかの手段（対話など）にあまり期待できないが故に、暴力的な行動にでる結果だ。オウムの地下鉄サリンの場合、麻原は選挙に出て自らの主張を展開したけれど、選挙では相手にされなかった。それで、自分の主張が真実だったことを明らかにするために、非合法的な手段＝テロにでたという構造になっている。

パレスチナゲリラもアイルランドゲリラも、支配層（イスラエルやイギリス）に対して選挙や話し合いでは勝てない。ふつうの戦争を仕掛けても勝てないので、「やむを得ず」テロにでる。

その場合、もしテロに多少なりとも正義があるなら、テロを支持する人たちが存在しているわけだ。

パレスチナ人によるテロならパレスチナ人をコアにして、広くアラブ人全体が支持する。アラブの視点から見れば、テロは正当なものになる。となると、テロの非人道性は認めるにせよ、その支持層の厚さを前に（アラブ全体を敵に回すのは不利と見て）、報復の手がゆるんだりすることになる。あるいは逆に、アラブ全体を敵に回すしかないと覚悟を決めて、徹底的に武力侵攻にでるのがイスラエルの戦略。いずれにせよ、支持基盤を意識しないことには、テロへの報復は決められない。

今回のテロの首謀者が、ビン・ラディンであるかないかにかかわらず、彼らを支持している組織（国）は、表向きほとんど存在してないことになり、犯人グループだけの、狂信的な行動（大義名分すらない）ということを世界が認めたことになるわけだ。表向き。アメリカが「報復」にでる背景には、こういう支持の関係がある。つまり、敵に回す相手が、いまの世界には表向きいない。だから思う存分報復できる。

■テロがあぶり出した新しい世界の構造

しかし、その一方で、パレスチナの街では子供たちが米国の象徴が音を立てて崩れ去るのに拍手をしている。パレスチナでは、その拍手をやめさせようと「おとな」たちが子供を抑制しようとしている。このことの意味はなんなのだろう？

さて、ビンラディングループには、本当の意味で支持層がいるのかいないのか？

僕は、米国は、同盟国はもちろん、アラブ諸国からも支持が獲得できたという、その「表向き」の支持に、酔っているのではないか、と考えている。実質的な支持関係を見ずに、形式的な支持関係からだけ、自分たちの有利を判断してしまっている。

しかし、その実、イスラム圏は、支配層と被支配層との間に埋めがたい身分格差があるのが通常で、支配層が米国を支持するからと言って、非支配層が支持しているとは限らない。この構造が、エジプトなど親米的なアラブ諸国だけでなく、パレスチナ人にまで広がってしまったことに、ちょっと愕然させられるのだ。

ではなぜ支配層は米国支持一色になったのか？　

カネ。たとえば米国はパキスタンに、すぐ北の国アフガニスタンにかくまわれているビン・ラディン逮捕に協力しろといった。パキスタン国民にとっては、ビンラディンはイスラムの英雄。だから普通なら、この協力要請は断ることになる。しかし実際には米国に協力を約束した。なぜか？　パキスタンの国庫は破綻していて、通貨危機に陥らないよう、緊急援助が必要だった。おそらくアメリカは、資金援助と引き替えに、ビンラディン追跡への協力を認めさせたに違いない。

パレスチナも同様だろう。パレスチナの敵であるイスラエルを支援する米国。しかし、パレスチナの和平と自治が実現するには、結局米国による仲裁がなければ、無理だということを、パレスチナ指導層は、ここ10年で身にしみて感じてしまった。特にソビエトの崩壊で、イスラム諸国が支援国を失ってしまったことは決定的な役割を果たしたはずで、世界の支持層が、文字通り米国支持一辺倒になったのも、こういうポスト冷戦構造がすみずみまで浸み込んだという事実が背景にある。

しかし、このことは本当の意味でイスラム教徒全般が米国支持に回っていることを意味しない。だからパレスチナの子供はビルの崩壊を喜んでいる。

となると、世界各国の、形式的な支持を大義名分に、ビン・ラディンに報復することは、イスラム世界からの米国支持とは裏腹に、ますます米国不支持層を地下に潜らせ、ゲリラ化、テロリスト化させる結果を生む可能性がある。PLOはもとよりDFLPすら、タリバーンすら、自分たちイスラム教徒の本当の気持ちを代表しないと一般のイスラム市民が考え始めるとすれば、この事実は、21世紀の世界の構造を非常に重層化させ、非常に複雑なものにするはずだ。世界は、民主主義＝市場経済構造に一元化されたかのように見える表面とは裏腹に、複雑さを増してしまう可能性がある。もし米国がこの可能性を重視せずに報復にでれば、複雑化した世界から、よけいに込み入った報復を受けることになるだろうというのが、僕の理解だ。

米国の歴史の浅さ、世界を単純化してみようとし、人間の精神構造のニュアンスを理解する感受性の乏しさが、21世紀の世界をよりひどいものに変えてしまうのではないか。この選択はやはり間違っているのではないかと僕は考える。

整理すると、ソ連崩壊以降、世界が米国的価値観に染められていった。その結果、世界には表向き、米国の敵がいなくなった。アラブゲリラさえ、米国の市場経済は飲み込んでしまった。しかしその「米国の敵」が存在しないことそのものが、テロの温床であり、米国が報復することは、この構造を世界に印象づけ、かつ固定化することになるという構造にある。そして、この構造を象徴するのが、命の価値の重いNY人と、命の価値の軽い人々との対比なのだ。

■実は、CIAとビン・ラディンの、「仁義なき闘い」？

国際ジャーナリストとして知られる田中宇（たなかさかい）のWebサイトに

「ミレニアムテロ：アメリカが育てたイスラム過激派」という記事が1999年12月30日付けで掲載されている。
http://www.tanakanews.com/991229terror.htm

この話は以前ほかの情報源でも読んだことがあり、おそらく的確な指摘だと思う。内容は上記サイトで読んでもらいたいが、骨子は
・1980年代、ソ連がアフガニスタンに侵攻し、アフガンが共産勢力の手におちるのをふせぐため
・CIAはアフガニスタンやパキスタンに訓練センターをつくり
・サウジアラビアなどが中心になって集めた「イスラム志願兵」を訓練し
・アフガンでソ連と闘わせた。
・この中にオサマ・ビン・ラディンもいた。
・その後、この志願兵の生き残りが、後にイスラム圏各地に散り、イスラム原理主義者としてテロリスト集団に育っていく。

「アフガン帰りを訓練したのはアメリカなのだから、アメリカは結局、自分たちを狙うテロリストを養成してしまったことになる。」と田中宇は指摘している。

つまり、アメリカは、ビン・ラディンとそのグループの手の内を、ほかの誰よりよく知っている立場にある。知恵市場で意見募集をした中には、圧倒的に「本当にビン・ラディンなのか？」と疑いを持っている意見が多かったが、日本人の多くは上記のようなアメリカとイスラム原理主義者（テロリスト）との関係を知らないことから、「いったい誰が？」という素朴な疑問を日本人は持ってしまう。しかし少なくともCIAは、イスラム原理主義者の動きを、誰よりもよく知っていて不思議はない。

今回の事件の前も、アメリカ大使館が海外在住の米国人に、テロの警告を出しているが、これも決して偶然ではなくちゃんと動きをつかんでいたからだと考えていい。

真の犯人はおそらく容易にはわからないだろうが、少なくともアメリカのほうが、圧倒的に「ビン・ラディングループと関係が深い」し、証拠らしきものもつかんでいて当然なのだ。

■「仁義なき闘い」に終止符を

ここでもう一歩踏み込んで考えてみる。

アメリカは93年に同じ世界貿易センタービルをテロリストに爆破され、その後、ケニア・タンザニアアメリカ大使館爆破テロが98年、さらに昨年2000年10月にアメリカ駆逐艦爆破テロと立て続けにテロを受けている。そしてその背後にビン・ラディンがいると批判してきたわけだ。非難するだけでなく、報復攻撃までしているが、結局ビン・ラディンを逃がしてしまった。

つまり、すでにアメリカとビン・ラディンの報復合戦は8年以上前から始まっているのだ。ここで「アメリカとビン・ラディン」と書いたが、むしろ「CIAと連邦政府」対「ビン・ラディン」の＜仁義なき闘い＞といった方がいいのではないかと、僕は思い始めている。つまり、今回の貿易センター崩壊の犠牲者は、ビン・ラディンの犠牲になったというより、『「CIAと連邦政府」と「ビン・ラディン」の＜仁義なき闘い＞』の巻き沿いを食ったというほうが妥当なのではないか？

もちろん、これは僕の空想にすぎない。しかしアメリカがなぜこれほどテロにねらわれるのか、そしてそれを恐れ続けているのか、理由を事実関係や経過をふまえて指摘しているジャーナリズムは、日本ではどこにもない。まるで突然言われもなく世界貿易センターがねらわれたかのような印象を日本人は受けているが、ほんとにそうなのか？　突然テロにねらわれた、かわいそうなアメリカ、という理解そのものが、われわれ日本人の国際感覚の乏しさを象徴してしまっているかもしれないのだ。そしてその乏しさを補うことなく、ただアメリカに引きずられて「仁義なき闘い」の片棒を担がされることにはならないのか？

仮に「仁義なき闘い」の構図が事実だったとしても、というより、それならなおさら、アメリカはビン・ラディンに報復しなければならないだろう。そして今度こそビン・ラディンとそのグループの息の根を止め、「今回の」仁義なき闘いに終止符を打ちたいはずだ。そしておそらく必ず、アメリカはその目標を達成すると思う。それがアメリカの世界に対する「お詫び」にならなければならないだろう。

もしかしたら、日本以外の主立った国の首脳は、こういう構造を知っているからこそ、今回はアメリカによるビン・ラディンの「私刑」を、真っ先に許容する発言を出したのかもしれない、と考えるのはうがちすぎだろうか？

■「私刑」を早くすませ、「二重構造」の解消に努力すべき

以上のように思考を積み重ねてきて、僕は今ふたつのことを考えている。

(1)アメリカは、なるべく早く短期間のうちに、「私刑」をすませるべき。少なくとも今回のテロ実行グループに限れば、どのような観点から言っても弁解の余地がない。しかしアメリカ政府は自分がまいた種なのだから、自分のだけ手で片づけてほしい。やたらに人の国をあてにしてほしくない。とはいえ、容易な相手ではなさそうだから、ある程度の支援はやむを得ないだろう。しかし、それはブッシュJr.が言うように、民主主義への挑戦を受けたために闘うというような種類のものなのかどうかは、十分な検証をして、その結果に応じたそこそこの支援にとどめるべき。

(2)問題はそのあと。ビン・ラディングループが勢力を持つ本当の理由、つまり冒頭で指摘した「命の重みの格差」や「イスラム世界を覆いつつある二重構造」を解消するための枠組みを真剣に考えるべき。すでにいまの国連はその機能を失っている（このことも、日本人は知らなすぎる）。国連を立て直すのか、新しい枠組みをつくるのか、いずれにせよ、世界が協力する以外に方法はない。日本が少々援助を増やしたぐらいでどうなる問題ではないことを、僕らは知る必要がある。

大事なことは、世界のマイノリティに、「世界はあなた達のことを気にかけているし、なんとか状況をよくしたいと思っている」というメッセージを出し、実効を上げる以外に、本当の解決はない。

■「僕たち」はどうすべきか？

では、この件については、僕ら個人ができることは？
僕は意外に少ないと考える。

もちろん、米国の犠牲者への義援金の送金はおおいに進めるべきだが、それは世界の趨勢を変えることにはまったく役に立たないはずだ。

最終的には、上で指摘した(1)(2)を機能させること。しかしその道は決して容易ではない。では僕たちにできることはないのかというと、そうではないだろう。どんなに大きな集団の中での意思決定も、結局は個人の意志の集積なのだ。

僕らがこれからやるべきことは、世界についてもっと知ることだ。

・パレスチナ問題の歴史的経緯と今現在の状況、ありうる解決策
・イスラム原理主義の歴史的経緯と現状、その支持・支援基盤

これは個々人が関心を持つだけでなく、情報の集積が必要だ。たとえば、知恵市場をそのための情報集積の場として使うという方法もある。数百人のメンバーが、ネットや本、リアルに人に聞いた話を[kafe]に集積し、またわからない点がどこかを明らかにしていく。とにかく、世界の動きにもっと追いつかなければならない。

僕は事件から数日で、ネットや過去の報道番組のVTR、知恵市場にいる数人の知性からの意見などから、多くの情報を得て、この文章をまとめたが、これを数百人単位で行えば、もっと効率的に知ることができ、かつ多くの人の理解水準を大幅に上げることもできるだろう。

基調にするべき方向は、当面上記の提案(1)(2)におき、知識が集まるにつれて議論を深め、提案の内容も変更していく。

この結果、知恵市場を軸に、イスラムやテロの問題についての知恵を持った人間が増え、世の中の専門家が考えた問題解決に向けての提案を吟味する力が付くだろう。これを広げていけば、日本の政治の動きに影響を与えることができるかもしれない。少なくとも、今世界でなにが起こっているか、わからないままに戦争に巻きこまれている気がするという、被害者感覚ではなく、主体的に問題に問題に関われるようになるだろう。

これこそが、知恵市場が考えるQuality of Lifeの高い生き方だと僕は思う。

渡辺パコ。1960年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒。85年採用広告プロダクションでコピーライター、クリエイティブディレクターとして広告、会社案内の制作、PR戦略の企画立案などを担当。88年に独立して、UPU社をはじめ各社にコーポレートコミュニケーションプランを提供する。90年に有限会社水族館文庫を設立、94年から執筆活動を開始し、雑誌などへの執筆活動も行う。執筆先はリクルート、アスキー、日経BP社など。著書に「手にとるようにわかるIT経営」（かんき出版）、「図解＆キーワードで読み解く通信業界」（かんき出版）、「LANの本質」、「生命保険がわかる本」など。Webサイトの設立・運営に積極的に参画。
●人がつなぐ知恵の検索サイト「Kスクエア」(http://www.ksquare.co.jp/)のビジネス・インキュベーションに参加、コミュニティ設計、ビジネスモデル展開、マーケティングビジョンの設計・運営を担当。
●主婦によるPC教室フランチャイジー「PCママサロン」（http://www.pcmama.co.jp/）のサイト設計と制作・アドバイザリーを担当。
●台湾のハイテク企業の製品を日本に紹介するB2Bサイト「ウィン台湾ドットコム」(http://www.win-taiwan.com)のビジネスモデル設計のアドバイザリー。

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