──────────────────────────────────── | 知恵市場 ☆ 2000.07.15 | g - e s s e n c e | エッセンス ☆ 合計発行部数 801部 | | ES1056 ☆ (B-mail=199:Nifty=602) | | ¥200 ☆ http://chieichiba.net/ | ──────────────────────────────────── ■日本政府の「予想」は? ■温暖化防止という大きな目標 ■原発はなぜ切り札にならないのか c o n t e n t s ■新エネルギーの種類と可能性 ■世界の潮流は「風力発電」 ■なぜ新エネルギーに目がいかないのか ■推進エンジンは炭素税とエコラベル ■エネルギーのグリーン化は不可能ではない ──────────────────────────────────── このエッセンスの第一稿を書き上げて、翌朝起きたら朝刊に「北海道 泊原発、地 元が容認」と一面トップに。世界では原発を止めようと言う時代の中で、この国 はまだ原発をつくるのか、と妙に感心してしまいました。 少なくとも政府はまだ原発増設を前提に、日本のエネルギーの未来を考えている ようですが、知恵市場では、もっと広く、本当に未来につながるエネルギー源は 何か、じっくり考えていくことにします。 今回は[ecru]のスタッフの一人、竹林@マッセさんが偶然別の仕事で「新エネル ギー財団」と太陽熱発電の取材をしてきたので、それを枕に始めてみます。 ──────────────────────────────────── ■日本政府の「予想」は? ──────────────────────────────────── まずは、マッセさんに新エネルギー財団(http://www.nef.or.jp/)への取材の 要点を整理してもらいます。 ▽マッセさんより ------------------------------------- 1)<日本の新エネルギーはどうなっていくのか> 1-1)日本の一次エネルギー供給の見通し (取材骨子) ・1996年度のデータでは、日本の一次エネルギー総供給量は原油換算で5.97億kl、 うちいわゆる「新エネルギー」が占める割合は1.1%。 ・COP3の合意を踏まえて、CO2削減のためにさまざまな対策を施すことを前提とし た2010年度の予測値では、一次エネルギー供給量は6.16億klになり、新エネル ギーの比率は3.1%とされている。 ・ただしCO2削減に限るなら、主要施策として考えられているのは、石油依存度の 引き下げと原子力利用拡大のセット。石油依存度を減らす分、原子力で補うと いう考え方である。従って原子力の占める割合は96年度の12.3%から2010年度 の17.4%となっている。とはいえ現実問題として原子力発電所の新規設置はか なり難しくなってきており、原子力の割合目標をどこまで実現可能かは現状で は読みきれていない。 ------------------------------------- ──────────────────────────────────── ■温暖化防止という大きな目標 ──────────────────────────────────── ここで基本的な情報を。「COP3」とは98年に京都で行われた「気候変動枠組条約 第3回締約国会議」のことで、地球温暖化防止に関する世界的な取り決めが行わ れました。CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を、1990年を基準に、日本、 欧州、米国が、それぞれ、マイナス6%、マイナス8%、マイナス7%の水準に持 っていく(2012年までに)という取り決めが行われ、各国はこの目標実現の義務 が課せられています。 http://www.tepco.co.jp/plant-sit-env/environment/98report-j/cop3-j.html ちなみに1990年水準から見て、現在はすでに温暖化ガスの排出量は増えており、 http://www.kokuminkaigi.gr.jp/genan/siryo/siryo02.html 未だに下降カーブには入っていません。 温暖化の予測にはさまざまありますが、詳細な観測ができるようになった1959年 からの98年までの間に16%上昇していることが確認されています。地球の平均気 温はすでに上昇していて、70年と比べて98年には0.5度程度上昇が記録され、21 世紀中に少なくとも1度、最大で4度、海面は最大1メートル上昇すると予測され ています。 ちなみに50センチ海面上昇すると、東京の江東地区をはじめ、日本でも多くの土 地が水没し、砂浜が姿を消し、モルジブなど標高の低い島では国土消滅の危機を 迎えます。なお、1万年ほど前の前回の氷河期と現在の平均気温の差は5〜6度と 言われています。 という基礎知識を紹介した上で、上記の 「とはいえ現実問題として原子力発電所の新規設置はかなり難しくなってきて おり、原子力の割合目標をどこまで実現可能かは現状で は読みきれていない」 という見解を見ると、なんとも無責任な感じが否めません。 実際、政府系の外郭団体を含めた温暖化に関する情報を読むと、「予想」「見通 し」が多く、なんとなく「このまま行くとこんな感じなるよね〜」という腰が引 けてるニュアンスです。 未来は予想するものではなく、選び取るものだ、という考え方に僕は賛成で、そ の点、こういった日本の政府系機関の考え方はまったく理解できません。 取材を終えてマッセさんは、 これまでCO2削減の切り札的対策として考えられていたのが原子力です。も ちろん新エネルギー開発の必要性も認識はされていますが、全エネルギー供 給量に占める割合は微々たるレベルに止まり、主役はあくまでも原子力でし た。ところが原子力関連の事故が相次ぎ、原子力推進にとっての逆風が相当 に強くなっています。 とコメントしてくれていますが、現状の日本政府の状態は、「原発に頼って温暖 化防止をねらっていたら、原発に逆風が吹いてきた、困ったな」と言うところで 思考停止している状態というのが本当のところだと思います。 ──────────────────────────────────── ■原発はなぜ切り札にならないのか ──────────────────────────────────── ではなぜ温暖化防止の切り札にならないのでしょうか? 実際のところ原発は、温室効果ガスの排出抑制については優等生で、単位発電量 あたりのCO2排出量は石油火力発電の60分の1以下。この数値は、クリーンエネル ギーといわれる太陽光発電、風力発電をはるかにしのぎます。 http://www2.enecho.go.jp/atom/quest/1-1.html 資源別のCO2排出量は、火力:風力:原子力=66:11:1という比になります。 この数値だけ見れば確かに原子力は「切り札」と言えるのですが、みなさんも感 じているとおり、原子力には決定的な問題があります。さまざまな問題点が指摘 できるのですが、僕が原発は廃止に持っていくべきだと考える最大の理由は、放 射性廃棄物の問題です。 原発の耐用年数はおおよそコンクリートの寿命と一致すると考えられていて、数 十年です。初期の原発はすでに耐用年数を超え始めていますが、その原発をどう 解体するか、その技術は未開発です。また高レベル放射性廃棄物の処分は、原発 開発当時から問題になっていたにもかかわらず、半世紀たった今でも見通しがた っておらず、「地下1000メートルに保管する」という方針があるだけ(一応技術 もある)。 http://www2.enecho.go.jp/atom/quest/5-6.html しかしこのような処分施設を受け入れる自治体はなく、実際問題として核のゴミ は行き場がないままただ保管されています。 また無事に地下深く埋められたとしても、放射線が半減するまでに数千年から1 万年といわれ、その間、何世代にもわたってその埋設場所を安全に管理するよう に子孫に伝えていかなければなりません。 埋設した廃棄物から放射性物質が漏れ出す危険も当然あり、地殻変動などによっ て地上に影響が出ないという保証もありません。廃棄物の中には原水爆の原料に なるプルトニウムやウランが高濃度で入っており、テロの標的になる危険もあり ます。 「プルトニウムはウランの毒性は確かに強いけれど、人間は同じぐらい危険度の 高い物質をつくり、ほぼ問題なく活用している。毒物としてみたとき、放射性廃 棄物だけが特別恐ろしいとは考えられない」と考えるひともいます。しかし他の 多くの物質が、毒性を消す方法を人間が知っているのに対して(サリンやVXガス 、ダイオキシンさえ分解の方法がある)、放射性廃棄物の無毒化の方法を、人間 は知らないと言う違いがあります。 もちろんこのほかにも、事故の危険やウラン燃料の有限性(埋蔵量は70年程度と いわれる)もある上、「熱公害」を発生します。 熱公害は、温暖化の基本的な原因の一つで、要するに熱を使ってエネルギーを取 り出すという方法自体が温暖化を招く、という考え方です。ちなみに風力発電や 太陽光発電は、太陽からの地球に降り注ぐエネルギーを利用しているので、エネ ルギーを電力としてとりだしても、その段階では余分な熱が発生しません。 ちなみに原発や火力発電所の廃熱は、家庭の暖房などに十分に利用されれば、熱 公害とはいえないのですが、熱供給は発電所の近くに限られるため、特に原発の 場合、廃熱利用が本当に有効に行えるのか問題があります。 ということで、原子力は温暖化防止の切り札としては「使い物にならない」ので す。未来を勝ち取るには、別の道を選ばなければならない。 ──────────────────────────────────── ■新エネルギーの種類と可能性 ──────────────────────────────────── マッセさんの取材によると、新エネルギーの主なものは (1)太陽光発電 (2)風力発電 (3)太陽熱利用 (4)温度差エネルギー等 (5)廃棄物発電 (6)廃棄物熱利用 (7)黒液・廃材等 少し詳細を見ていきましょう。このうち(5)と(7)は廃棄物を燃やしてエネルギー を取り出すという方法です。ゴミや廃材を燃やせば廃棄物処理にも貢献して一石 二鳥のようですが、ことはそうかんたんではありません。 燃やすということはここでもCO2が発生し、エネルギーを取り出すことで温暖化 が進むという点では化石燃料と変わらない上に、雑多なものを燃やすことから、 ダイオキシンなどの有毒物質の発生も心配です。 現在世界的には廃棄物は、そもそも減らすことが重要で、どうしても出た分は燃 やさずに再利用することを考えるのが潮流になっています。たとえば建築中に出 る木廃材は、燃料にするのではなく、ウッドチップに加工して公園に敷き詰めた り、堆肥に利用するという考え方です。これなら木材(炭素)をそのまま地球に 固定しておくことができ、CO2として大気中に放出せずにすみます。 他のエネルギー源では、可能性が高いと見られているのが(1)太陽光発電と(2)風 力発電です。(3)太陽熱は発電方法としては、日本ではすでに「サンシャイン計 画」で研究され、日本には適さないという結論が出ています(米国では研究が進 められています)。 太陽光発電は日本で太陽電池パネルの屋根材が開発され、価格も1棟あたり280万 円程度に下がって、3分の1程度の国の補助があることも手伝って、急速に普及し てきました。 風力発電は前回のg-essenceでも示したとおり、もっとも期待されているエネル ギー源で、日本でも特に洋上に大規模な発電所をつくることで、資源面でも収益 性の面でも充分採算がとれると考えられるようになりました。 http://www.tech.nedo.go.jp/index.htm (ここで風力発電と入力して調べるといくつか研究資料があります) その風力や太陽光を、日本政府(系団体)はどのように見ているかというと、 ▽新エネルギー財団への取材 ------------------------------------- ・2010年度時点で予想される新エネルギー供給量(全一次エネルギーのわずか 3.1%相当ですが)に占める割合は、多い順に廃棄物発電/34.7%、黒液・廃材 等/31.0%、太陽熱利用/23.6%、太陽光発電/6.4%、温度差エネルギー等/ 3.0%、廃棄物熱利用/0.7%、風力発電/0.6%となっている。 ------------------------------------- 2010年に「新エネルギー」がわずか3.1%で、その中でさらに太陽光が6.4%、風 力が0.6%という「控えめ」な「見込み」です。根拠は一応あるのでしょうが、 「未来をこうしたい」という意思は、ここからは感じられません。 ──────────────────────────────────── ■世界の潮流は「風力発電」 ──────────────────────────────────── 世界に目を転じてみると、 ▽マッセさんの取材 ------------------------------------- <風力発電> ・99年末時点で世界合計の風力発電量が1345万kw、最も多いのがドイツ・445.5 万 kw、以下デンマーク・174万kw、アメリカ・162万kw、スペイン153万kwと続 き、日本はわずか6.8万kwに過ぎない。 ・2010年度時点での日本の目標が30万kw(全エネルギーの0.02%相当)であり、 ドイツ、デンマーク、イギリスなどが総電力の10%を目標値としているのに比 べ極めて小さい。 ・立地に関して日本は、実は風力には恵まれておりオフショア(近海上)を含め れば潜在発電能力はかなり高い。 ・発電コストも現時点では8.9円/kwまで落ちてきており、アメリカの7円/kwと 比べても遜色ないレベルにある。 ・ただし最大の問題は日本の場合、送電線の容量が不足しているために、風力発 電のように負荷変動の大きい電力を送ることが現状では困難なこと。かといっ て送電線の増強には巨額のコストがかかる。さらに発電所建設のための機材輸 送路が整備されておらず、建設適性地が限定される。逆に輸送路から整備して いたのでは、イニシャルコストが膨れ上がり採算がとれない。 ------------------------------------- という内容からもわかるとおり、日本政府がいかに風力を不当に過小評価してい るかがわかります(原子力を過大評価しいてる)。 前回紹介したとおり、たとえばアメリカではノースダコタ、サウスダコタ、テキ サスの3州だけで、全米のエネルギー需要に相当する、利用可能な風力資源が存 在しています。同様に中国でも風力だけで現在の発電量を2倍に増やせます*。 欧州では先進的な国が発電量の 10%を風力でまかなう計画を立てていて、日本 でも 10%を目標にしただけでも、原発の3分の1が不要になります(日本の電力 は 30%が原子力)。今後の風力資源の開発、発電機や送電設備の効率アップ、 太陽光発電(太陽電池パネル)などを組み合わせれば、10年程度のスパンでも日 本のエネルギーの資源構成を大きく変えることができるはずなのに、政府の「見 通し」はまったくその点に目を向けていません。 ──────────────────────────────────── ■なぜ新エネルギーに目がいかないのか ──────────────────────────────────── 一方マッセさんが次のようにレポートしてくれている点について考えてみましょ う。 ▽マッセレポート ------------------------------------- 世界的な潮流としても脱・原子力が大きなうねりとなっている。日本のエネ ルギー政策のコアの一つとして現時点では原子力を外すことはできないもの の、新エネルギーの開発をより強力に、また早急に進める必要性を新エネル ギー財団としては認識しているように感じました。 ここで必要なのは市民パワーに支えられた政治力なのかな、と思います。ド イツで原発廃止を決めたのも、結局は市民に支持された政治力でした。なぜ 日本では反・原発、脱・原発の動きが盛り上がらないのか。誘致候補地では 誘致の賛否を巡ってさかんな議論が行われるのに対して、都市部ではあくま でも無関心です。関心そのものがないのか、関心はあるけれどもそれを表に 出す術がわからないのか。政府に任せっぱなしでは決して好ましい結果は得 られないように思います。 ------------------------------------- 指摘の通り、市民パワーは非常に重要で、先進地北欧でも住民の民主的な行動が 政府や電力会社を大きく動かしています。もちろん北欧の民主主義の成熟度と日 本のそれとは、残念ながら比較にならないぐらい情けないのですが、しかし悲観 していては前に進めません。 僕は、エネルギーに未来がある、ということを示していない研究機関やジャーナ リズムの責任が重いと見ています(『環境問題は情報問題』)。 都市住民がエネルギーの未来に口をつぐんでいるのは、いったん手に入れたエネ ルギー消費型の生活が非都市部の、原発や火力発電所に依存しており、過疎地に 「クサイものを押しつけている」自覚があるからでしょう。やぶ蛇になるから、 あえて問題にしないように身を縮めている。 東京中の屋根に太陽電池パネルを張り込み、湘南や九十九里に発電用風車を並べ ることで、どれだけのエネルギーになるか。またそのコストを、原発の新設や解 体廃棄、放射性廃棄物の処理まで入れて計算してどのようになるのか。 既存の政府の「見通し」に対する「オールタナティブ=代替案」が提示できれば、 それを支持する人たちの登場、また彼等の意思を受けたマスコミ報道なども期待 できるのではないでしょうか。 まずオールタナティブ(ビジョン)を提示する。これをどこがやれるのかという と、やはり現状では非政府系のシンクタンクや大学研究機関、NPOなどでしょう。 その成果を民主党などの野党が受け入れ、また各メディアが取り上げて検証する というプロセスを踏めば、エネルギーに関しては「自民党にしますか、民主党に しますか」という提示が可能になります(もちろん政府がこれをやれることが理 想ですが)。 ──────────────────────────────────── ■推進エンジンは炭素税とエコラベル ──────────────────────────────────── ただ、政治的な動機だけでは、実際の変化には結びつきません。簡単に言えば、 僕たち一人一人がエコ発電を支持することで「トク」をするしくみが必要です。 先進地北欧に学べば、そのための「推進エンジン」が、炭素税(環境税)とエコ ラベルです。 炭素税は、炭素(温室効果ガス)の発生量に比例して課税するという税で、これ をあらゆる企業、また個人に課す。そこで得た財源を風力や太陽電池パネルを購 入する時の補助金や、発電効率アップの研究開発費に回します。 個人にとっては、通常の電力を買っていると炭素税が高くかかりますが、太陽電 池パネルを屋根に設置すれば、炭素税が安くなる上に、太陽電池の電力で電気代 も下がるという「トク」があります。 また自分のところに太陽電池パネルや風車をおけなくても、風力発電を中心とす る電力会社から電気を買えば、炭素税が安くなるようにすることも考えられます。 この場合重要なのが「エコラベル」です。買っている電力やサービスがどのぐら い環境配慮されているかを中立的なNPOなどが判断してラベル付けする。たとえ ば東京電力でも、エコラベルA(風力による電力)は、火力による電力Cより、現 状5%増しの料金かもしれない。でも電力Aを使えば炭素税が半額になれば、結局 「トク」になるというように設定すれば、風力や太陽光発電の導入を電力会社に 促すことができる上に、個人もトクします。 もちろんその前提として、電力購入先の自由化や電力会社も地域の風力発電の電 力を購入できるなどの規制緩和などが必要ですが、こちらの方は実はすでにかな り進んでいるのです(日本でも)。 ──────────────────────────────────── ■エネルギーのグリーン化は不可能ではない ──────────────────────────────────── どうですか? 原発や火力発電から脱却して、クリーンで持続可能なエネルギーに転換する方法 は、決して不可能ではなく、また遠い未来の話ではないことが感じられたでしょ うか。 欧州では、あと10年ほどでエネルギー依存のバランスが大きく変わり始めるはず です。風力や太陽光エネルギーの比重が上がれば、たんに地球環境への好影響だ けでなく、産油国の政情不安や資源枯渇に強い国になれます。地下資源には乏し い日本でも、風力や太陽光、またそれらを利用する技術が豊富ですから、今度こ そエネルギー供給に不安のない国になれるチャンスでもあるのです。 もちろん問題もたくさんあります。決してバラ色ではありません。 政治的な決断が重要なのはいうまでもありませんが、たとえば風力発電では風力 が安定しないために、発電量の安定供給が難しいこと、タカなどの貴重な大型鳥 類が風車に激突死する危険、また風車は動作音が大きいことも問題です。技術的 にも多くの課題があるでしょう。 でも、それらは決して克服不可能ではないでしょう。すくなくとも高レベル放射 性廃棄物を数千年管理するよりはずっと容易だと僕には思えます(あなたはどう 考えますか?) そして、僕らの世代の問題を、僕らの世代のうちに片づけられ る可能性がある。 さて、この大きな問題に対して、あなたがあなたのビジネスの上でできることは なんでしょうか。 ・会社が工場や事業所をつくるとき、風力や太陽光発電が導入できないか検 討し、提案する。 ・マスコミ関係の仕事なら、新エネルギーについて積極的に取り上げる企画 を作る。 ・シンクタンクや大学関係者なら、データを集め、エネルギーの未来につい て、実現可能な未来のビジョンを描き、提言する。 ・たとえばラジカセを太陽電池で動くよう商品企画する、野外コンサートを 太陽電池電力で運営する、屋外で使う電気製品に組み合わせるなど、商品 開発を進める。 ・新エネルギーが少しでも導入できたら、それを使った製品にエコラベルを つけ、積極的にPRする(誇張はせず事実を説明する)。 ・社内の飲みにケーションなどの時にエネルギーと温暖化の問題について話 し、関心を向けておく。 こんなことは、十分できます。もちろん、炭素税やエコラベルが導入されたら積 極的に環境によいものを使う、ということもいうまでもありません。 あなたが環境問題の解決に貢献できる方法は、決して家庭でのゴミの分別だけで はありません。仕事の中で貢献できれば、あなたのパワーはビジネスというしく みをテコに、何十倍、何百倍にも増幅できる。その積み重ねの上に、未来が見え てきます。 *地球白書2000-01 レスター・ブラウン編著 ダイヤモンド社 2800円 P28 20000.07.15 paco/渡辺パコ paco@suizockanbunko.com ──────────────────────────────────── 知恵市場(ちえいちば)主宰 ● Toshi/高橋俊之 toshi@heartbeats.com paco/渡辺パコ paco@suizockanbunko.com Surfrider/阪本啓一 surf@palmtr.com ──────────────────────────────────── ●エッセンスの転載については、知恵市場までお問い合わせください。 paco@suizockanbunko.com 知人(個人)へのエッセンスの紹介を目的としての転載は、1号限り、全文を 送っていただく場合に限り、特にこちらに許可を取らずに行ってかまいませ ん。ただし登録せずに受け取った人がさらに別の人に送ることは認めません。 --------------------------------------------------------------------- end of Chieichiba Essence (c)Chieichiba & Suizockanbunko inc. All rights reserved(2000).